白いさざんか、黄色い菊

           
by yayako

うちの近くの小さな空き家。
その家には、優しそうなおばあさんがひとりで住んでいました。

ほうきを持ってお掃除中の前を通りかかると、いつも"行ってらっしゃい”"お帰りなさい”と声をかけてくれた優しい笑顔。
名前も知らないおばあさんだけど、"行ってきます”"ただいま”と言葉を返した後は、何となく心があったまって、その日一日を穏やかに過ごすことができるようでした。

いつの頃からでしょうか。
その家に、おばあさんの姿は見えなくなりました。おばあさんが掃いていた小さな階段には落ち葉がたまっています。

今日は、町内の防災訓練の日。
寒い中、一時間ぐらい外に立っていて消化器の使い方や緊急時の担架の作り方など習いました。

冷え切った体で家路を急ぐ途中、おばあさんのお家を小走りで通り過ぎようとしたら、あの微笑みのように優しい白いさざんかが、たくさんのつぼみを膨らませています。
一瞬立ち止まった私は、体の寒さを忘れました。

そう言えば、今は誰も住まない義父母の家の垣根にも黄色い菊が美しく咲いていました。
今、その花はお仏壇の中で美しく咲いています。


白いさざんかと黄色い菊・・・冬空の中、主のいなくなった家で咲く花を、よりいっそうけなげに感じるのは私だけでしょうか。

                          2002/12/08(Sun)

ResComment

ばんちゃん

私の住んでる香里園という街もそこそこの家があって皆我々世代の子供も居たのに親はせっせと塾へ通わせ良い学校に入れて大手の会社に入ったまでは嬉しかっただろうけど東京の大学へ行きそちらで就職,結婚生まれた枚方へは戻らずその内 年寄りだけが残る家から片方が欠け遂には残りも亡くなると相続税を払うために帰る予定の無い家は売却、買った不動産屋は土地を分割し建売にどんどん町並みは悪くなっていくこれって親は幸せな人生かな?
活気のない家を見るたびに思います。
私の様に子供達は近くに住んでくれて孫はいつでも会える仕事も息子が継いで一緒にやってくれる、こういうのが幸せって言うのじゃあないの?もっと言えば3世代同居の大家族で仲良く暮らせればもっと幸せというのではないですか?ゆみこさはどう思いますか?2002/12/11(Wed)


ゆみこ

ばんちゃん、レスコメントありがとうございます。
"しあわせ”・・・何が幸せってひとことで言いにくいなあ〜って、考え込んでいます。
うちは、夫が父の仕事を継いだし、すぐ近くに住んで義父母が亡くなる昨年までずっとお盆やお正月のお墓参り、ご挨拶回り・・一緒にやってきました。二世代住宅なんて、みっともない・・こういう両親でした。
とてもバイタリティがあった義父は、60代に入ってから病気がちで、手術や入退院を繰り返しました。義母もリューマチになり、調子の良くないときは、時には無気力に、時には自暴自棄になったりもしました。
入院の度、毎日でも私が病院に行くことを望む義父。まだ子ども達も自立できるほど成長していず、仕事もあり、正直大変でした。
でも私は、最後まで義父母に強い態度に出ること、自分のペースを守るため自己主張することができませんでした。
なんでかわからないけど、できませんでした。
問題が起こると、自分たちで解決しようせず、私たちにそのことを告げることで自分たちのすべきことは終わり・・・と言う態度。正直言ってしんどかったけど、最後まで両親には優しく不自由な思いはさせなかったと思います。
結婚してからの日々は、私の人生観に大きな影響を与えています。お互いに思いやり、困ったときは助け合いながらも、互いに生き方を尊重し会う。その上で楽しい時間を共有する。互いの生きるペースを乱さないようできるだけ努力する・・・こんなことが根底にあっての三世代の生活なら素晴らしいと思います。
きっと、ばんちゃんの所は、それができているんでしょうね♪

もちろん、子どもがいなくて夫婦二人だけの生活でも、結婚せずひとりの生活でも、”幸せ”という生き方もあることは、今の時代誰もが認めることですよね(*^_^*)
2002/12/12(Thu)

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