おばあちゃんの道
家から車で15分ぐらいの駅に娘を送っていく時、いつも通る道。
車通りの多いその道から一本入った細い路地におばあちゃんが住んでいました。おばあちゃんは、母方の祖母です。
狭い間口の玄関を入って右側にある細長い狭い台所で、おばあちゃんはいつもご飯の用意をしていました。
お昼時に行くと、美味しいおうどんを作ってくれたものです。
今、車でサッと通り過ぎるだけのこの道、ここを通る時いつもこんな気がします。
・・・ここからちょっと入ったら、おばあちゃんに会える!・・・
おばあちゃんはあの頃のまま、”お越し〜!”と言って私を迎えてくれ、着物の上に割烹着を着て薄暗い台所でご飯を作っている。
そして、私が帰る時には1000円札を一枚、半紙に包んでくれる・・・。
この道の角にあるおうどんやさん、今は閉まったままなのに、あの辛いカレーうどんのにおいがしてくるような気がします。
ガラスケースの中のお菓子をスコップですくって紙の袋に入れてくれたお菓子屋さんは、今はどこにも見えないのに、そこにあるのを感じます。
こどもたちが窮屈そうに入っていたあの駄菓子屋さんも、おばあちゃんが下着や靴下を買っていた市場の中の洋品店も、みんなそこにある・・。
この道は、私を不思議な錯覚に陥らせ、悲しいのか幸せなのかわからないノスタルジックな気持ちにさせるのです。
2002/03/14(Thu)
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困った、困った・・・。
父は、大のお医者さん嫌い。
骨折と思われる(何しろ病院へ行かないものだから、その怪我の実体がつかめない)怪我も、じっと痛みに耐え、自力で治してしまうぐらいです。
”食事に気をつけることと運動で健康をキープする、医者には頼らない!”
・・・これが父の美学?らしいのです。
そんな父もやはり年を重ねた人間。
最近少し具合の悪いときがあるらしい・・・。
母に聞くその症状を、私はとても心配しています。
冠婚葬祭は簡素にと常々言い、自身のことが大ごとになるのを極端に嫌う父。
そんな姿を自分の生きざまと言うのなら、大ごとにならざるを得なくなる前に、受診して欲しいんです。
”今日は絶対病院に連れて行く!”
・・・父の様子を聞き、心配が大きくなった私は、そう決心して実家に行きました。
必死で説得しようとしても、私の言葉は届きません!
長い間病気だった義父母を看てきた私は、今とってもとっても心配なんです。
あきらめて車を運転する帰り道、情けなくて涙が出ました。
2002/03/21(Thu)
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