Good Luck


”Good Luck.”
そう言って、息子と握手をした。
小さな私の手の中にすっぽりと入っていたマシュマロみたいな手は、いつのまにか、もうすっかり大きな青年の手になっていた。

”じゃあ、またメールするから。”
その手を挙げて、彼は旅だった。
17s以上もあるリュックを背負ったその姿は、まさに”旅人”そのもの。

ほんの5.6年前には、確かに保護者として旅に連れて行っていた私。
去年の夏、車を走らせながら、車の後部座席で青い目の友人と話す会話を耳にしたとき、
”負けた・・・”
と思った。彼の努力を認めつつ、ちょっぴり悔しかった。
頑張ろうとしなくなった自分を思ってみれば、力の逆転は当たり前なのだと自覚しつつ・・。

夏にドイツでのボランティア活動を終えて帰国した彼は、すぐにドイツ語の講座に通い出した。
毎日詰まった大学の授業をこなしつつアルバイトもした。
年賀状の配達のあと、日が暮れるまで局内の残業もこなした。

ヨーロッパ1ヶ月ひとり旅。
9カ国もまわることを知ったのは、旅立ちの前日。
何と気楽な母だろう。
格安チケットの確保。外貨への両替。旅の途中立ち寄らせていただく友人宅への連絡。荷造り。
また何もかもひとりでこなし、彼は旅だった。

”関空大好きだから・・・。”
と、いつもあなたたちを見送りに出かけた母だけど、今回は行かなかったよ。

母もしっかり子離れ、旅立ちの季節。

”Good Luck”
そして・・・”Bon Voyage!”

                      
 2004/02/15(Sun)
           
           

ResComment

Rose:
息子さん、昨日発たれたのですね。
子供って、親の知らないところでちゃんと自分の世界を持ち、成長しているものなんですよね。
息子さん、何もかも一人で準備されたなんて、すごいですよ。
今は、大学生になっても親に送り迎えしてもらったり、カップ麺のお湯までも母親に入れてもらったりする男の子、多いですよね。
しっかり親離れした息子さん、ちょっと寂しいけれどもがんばって子離れしたゆみこさん、お二人に私からも”Good Luck!”
(2004/02/15(Sun)

takoyo:
いい味の文章だなあ・・・ (2004/02/15(Sun)

yayako:
こんな息子がほしかった。
大学在学中に、社会人になったら出来ない色んなことに挑戦し、貪欲に栄養を吸収していく…。
どんどん大人になっていく息子を眩しく見守る母。
そんな小説のようなストーリーを私は憧れてましたけれどね。(笑)

さすが、ゆみこずサンは、やりますねえ♪
輝く息子を見るのが親の幸せ。
何事にも縛られず、自由に生きていってほしい、オバサンからもエールを送ります♪

さて、高2のわが息子は、のんびりマイペースで何も発展的なことはしないけれど、それはそれで良し。
20歳になった時、自分の方向性を見つけてくれたらいいなあ。

娘も息子も悔いのない人生を送って欲しい。
若い時には、やりたい事をどんどんやるべし!!
(2004/02/15(Sun)

ブラちゃん:
ゆみこさん、私も同じ心境になったことがあります。娘をアメリカに送り出す成田空港まで送って行ったとき未知の世界に飛び込んで前途ようようにでもないかな?娘は少し不安も有ったかもしれない。生活が合わなかったら直に帰ってきたらいいからと・・・飛び立つ飛行機が雲間に消え入るまで見送っていた私は、胸が熱くなり涙が出ました。多少の心配はありましたが、何とかなるだろうと楽観視していたようにも思います。親は子供に悔いのないように自分の人生を切り開いていってほしいものですね。3年半のアメリカ生活の中で成長した娘を見るのが眩しかったです。
息子さんもきっと逞しく成長されて
戻ってこられるでしょう。ゆみこさん親子に乾杯!”Good Luck!” (2004/02/15(Sun)

non:
ゆみこさんの気持ち本当によくわかりますよ。(*^ ^* )V
うちも長男がこの春から社会人なので、同じ様な心境です。
私も自分ではすごく子離れしていると思っていたのですが・・・
私の手をしっかり握り締めていた、ふにゃふにゃの手は何処に?(笑)
お互いに孫まで待ちましょうね。 (2004/02/15(Sun)

ゆみこ
皆さん、早速お読み下さって、コメントをいただき、ありがとうございます。とても励みになります。

同じ年代の子どもをもつRoseさん、yayaちゃん、nonさん、子どもが親離れするときって、親である私たちが自分自身の生き方を見つめ直すときなのかもしれない・・そんな気がしませんか?
これからの私たち自身の生き方について、どんな風に考えていらっしゃるのか、またお話聞かせていただけたら嬉しいです。

先輩パパ、先輩ママであるブラちゃん。
同じような思いで子ども達の自立を見守り、今は可愛いお孫さんがいらっしゃるお二人から吹いてくる風は、私に勇気を与えてくれます。
また、いろんなことお話してくださいね♪ (2004/02/16(Mon)


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 2004.02.12