もしかして

”綺麗にしたはるなあ〜”

少し遠くのショッピングセンターで、ふと目についたひとりの女性。
うっとおしい梅雨時、リラックスした服装の人が多い中で、その人の身ぎれいさが、私の目を捉えた。

きちんとした髪型、細いネックレスがキラッと光って・・・。
その人にとって、それはごく普通のスーパーでのお買い物スタイルなのだろう。そんな感じがした。


ショッピングカートを押しながら、すれ違った。
目が合ったその瞬間、”あっ!”と思った。
もしかして?

”賢くて綺麗で、どんなことでも笑顔で切り抜けてしまう、優秀で大人っぽい人”
学生時代の私には、そんな風に思えたひと。

目に留まってすれ違ってしまうまで、ほんの数秒だった。
今、何の前触れも心の準備もなく、突然現れたその人が彼女なのかどうか確かめることはできない。
追いかけて声をかけるには、あまりにも自信がなかったから。

学生時代のあの頃、彼女のお母さんに出会っていたら、きっとこの間会った”あのひと”そっくりの顔をしていらしたはず・・・そんな気がする。

すれ違う一瞬、彼女の表情も少し動いたような・・・。

私の顔を見て、彼女も思っていたのだろうか。
”もしかして、学生時代一緒だった?
 あの頃の○○さんのおかあさんみたい・・。”


同窓会って、そこに集う人が、あの頃の仲間だとわかっているから、自信を持って見分け、話すことができるのかも。

いきなり雑踏の中で出会ったときに、”もしかして”と思いながらも声がかけられない・・・流れた時間は、私たちにそれだけの変化を与えてしまったのかしら。

                              
2004/06/10(Thu)


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