雨にも負けず
デパートの中を歩いていたら、ケバイ茶髪の娘が目に入ってきた。
夜のコンビニに腰を下ろしてたむろしていそうな、そんな娘が何やら
じっと神妙に眺めている。
その眺めている先には、一枚の絵が置かれてあった。
いくつものお地蔵さんの姿が描かれたその絵には、余白に「雨にも
負けず」の詩が書かれてある。
彼女の目は、その詩を追っていた。口元がかすかに動いている。
詩を読んでいたのだ。
店内は休日にもかかわらず静かだった。
やがて彼女はその場を離れた。
僕の前を通り過ぎる時、チラッと見たのだが、彼女の目は絵に描かれ
ているお地蔵様のまなざしそのままだった。

時は移り、人の姿形は変わっても、人の本質は変わらない。
いくつ齢を重ねても、人の心が変わらないと同じように・・・。







061012